お買い物の向こう側

※今日のお話は「週末にディズニーシーに行って、ぬいぐるみを買ったら泣いてしまった」という超個人的な話です。

 

 

年に一度くらいのペースで家族でディズニーランドかシーに行っています。
早めのランチの後、夫と息子がトイレに行っている間にふらっと入ったショップで、しらないキャラクターのうさぎのぬいぐるみに妙に惹かれて、眺めていました。


そのぬいぐるみは、通常版とディズニーランド35周年記念モデルがあり、記念モデルは一回りちいさくて豪華な衣装を着ていました。


そこに夫と息子が合流。
「このぬいぐるみが欲しくて迷ってるんだけど」というと
「あなたがぬいぐるみ欲しいっていうの珍しいね。いいんじゃない?」と、意外にも肯定的な反応。


普段から夫は私の買い物にはほぼ口出ししないのですが、なぜだかぬいぐるみは反対されるんじゃないかと思っていたのでちょっとだけ驚く。
後から考えると、ぬいぐるみ=道具としての用途がないもの という思い込みから「買わなくていいもの」と信じきっていたのかもしれない。

 

「そう?買っていい?これ、35周年モデルがあって、こっちのほうが小さくて・・・でも私、大きい普通のやつのほうが好きで・・・」というと、
「好きな方にしたら?」とだけ言って、タバコを吸いに再度外に出て行ってしまった。


私の元に残された息子はそんな私たちのやりとりを見ながら、

別の猫のぬいぐるみを抱え「僕はこれが気持ちいいとおもうなあ・・・」と白いふわふわのしっぽを撫で回している。

 

私は限定品に弱い。
息子はうさぎじゃなくて猫を欲しがっている。


この条件下では、普段の私なら限定品か猫を購入するパターンが多い。
なのに、この時はどうしても普通のうさぎを手放せず、夫が戻ってきたところで意を決して、しっかりと顔形を選んで、レジの列に並んだ。

 

 

レジのかわいらしいお姉さんは私に「すぐに抱っこして行かれますか?」と聞いてきた。
その質問に意表をつかれた。
ぬいぐるみを抱っこして歩いているお客さんの姿はたくさん見ていて認識しているのに、
自分がその選択を迫られることになるとは思っていなかった。
自分がぬいぐるみを持って歩いて許されるのか・・・?と考えると、とても悪いことをしている気持ちになりつつ「はい」と答えた。
小心者なので、「ふ、袋もください」とお願いした。
お姉さんは笑顔で丁寧にタグを取り外してくれた。

 


こうして私はうさぎのぬいぐるみを小脇に抱えて、店から出た。


うさぎのぬいぐるみは、うすいラベンダー色で、ベビーピンクの耳に、水色のサテンのシュシュがついている。
並んでいたぬいぐるみの中で一番ガーリーだった。
子供のころから、ボーイッシュな服を着せられて、ガーリーとは無縁な生活を送ってきた私には
恥ずかしすぎるくらいかわいらしいデザインだ。
心の中で「これがいいなあ」と思ったものも「私には甘すぎるな」と思って、選ぶことはなかったテイストだ。


ぬいぐるみ愛好家の息子が隣を歩きながら「お母さんだけ買ってずるい」というちょっとした嫉妬の目で、私を見ている。

息子と手をつないで、反対側の腕にはうさぎのぬいぐるみを抱えて歩いていたら、あまりにも幸せな気持ちに包まれすぎて泣きそうになった。
泣きそうになった状況に自分でもびっくりして、そのことを夫に伝えようとしても、声も言葉もでない。
自分でもなんで泣きそうなのかわからないし、しばらくして本当に泣いた。

「意味わかんねえよ」といって、夫は笑っていた。

自分の感情の変化を、一生懸命説明した。


3900円のぬいぐるみ一つ買って、こんなに多幸感に包まれるとおもわなかった。
ぬいぐるみ抱っこして泣いて歩いている42歳、街中なら白い目が突き刺さって流血しそうだが、夫が苦笑いしているだけでパークの中では何も気にならない。

 

結局、その日1日中ぬいぐるみを抱えていた。


どのアトラクションも膝の上に抱えて、ときどき息子に奪われながらも一緒に楽しんだ。
「この子にお洋服も買ってあげればよかったかな〜」という私の独り言に夫は「・・・一体だれに向かってはなしてるの?」とドン引きしていた。

 

 

二日たった今も、このお買い物体験は私の中に一生残るのではないか、というくらい心にずっしりときている。
後から調べたところ、そのキャラクターは「ステラ・ルー」という、2017年に誕生した新しいキャラクターだということを知った。

 

正直、私は買い物好きな性分と今の仕事があいまって、人よりも多くいろんなものを買っているほうだと思う。
それなのに、
それほど高価ではない今回のお買い物で、なぜ泣くほど感動したんだろうか、と考えた。

「自分で欲しいものを選ぶ」というごくシンプルで純粋な選択が、本当の意味でできる機会はそうそうなかったのかもしれない。
バッグでも枕でもなく、何の用途もなく、名前もしらないキャラクターのぬいぐるみを、「かわいい」という衝動のままに購入したのだ。

 

普段、仕事でネット販売講座に登壇した際には「お客様は、その商品を買った後の楽しい生活を想像してお買い物をする」という話をしている。
今回の体験は、自分が講座で話している事をそのまま体感しただけでなく、はるかに上回る幸福感につつまれた。
欲しいと思った気持ちのまま行動したら、とんでもない事態になってしまった。

 

ぬいぐるみを抱えて歩いたパーク内での幸せな時間のおかげで、しばらくは元気に過ごせそうな気がしている。